『百万円と苦虫女』は最後の演出が気になった
もう一本が、蒼井優主演の『百万円と苦虫女』。
こっちの方は「たみお~」と違って、行動の理由なんかも分かりやすい。
自分を知っている人がいないところで、他人と関わらずに過ごしたいのに、
時間が経てばどうしても関わってしまう。
「100万円貯まったらその町を出ていく」というのは、そんな煩わしさから
逃げるための口実にすぎない。本当は、関わりができたらそれを捨てたいのに、
アパートを借りるには保証人がいるし、弟には手紙を書くことで「家族」のつながりをギリギリ保っている。
どうにも振り切れない、こういう中途半端さがかえってリアルだなぁと思った。
*以下ネタばれあり!
そこからの脱却として3つめのエピソードがあるんだけど、そのラストがなぁ。
「100万円貯めて出ていかれたくないから金を借りていた」という理由は、
観ていれば途中からわかるし、演出としてはいいと思うけど、その理由
を観客に提示する演出があまり良くないかなと感じた。
だって、これって劇中で一番大切な情報で、それを観客に知らせるところが
最大の見せ場になるのに、それをサブのサブであるアルバイト仲間の
女子大生に言わせるなんて、あまりにデリカシーが無いんじゃない?
正直、ここさえ気を遣ってくれれば好きな映画だったのになぁ。
さらに、最後はお互い気付かないまま終わってしまってるし。
個人的には、最後は気付いてほしかった。
やっぱり、それでこそ青春映画じゃないかと思うのだ。
で、私だったら最後をこうする、というのを考えてみた。
まず、お金を借りるシーンで、蒼井優が森山未来に渡す1万円札の中に、
破れているもの(もしくはちょっとした落書きがある物)が混じっているようにする。
そして、森山未來から、「これまで借りていた分」としてお金の入った封筒を受け取った蒼井優が、
駅で切符を買おうとその封筒の中からお札を取り出す。
すると、あのとき貸した破れた1万円札がそのまま入っているではないか!
それを見ることで「渡したお金が使われずに、そのままとってあったんだ」ということに気づく。
それはつまり、「行かせたくないからお金を借りていた」ということ。
そしてここで場面転換して、サブキャラの女子大生に
「いいんですか?そのままで」と映画のように説明させる。
それを聞いた森山未來が自転車で駅に駆けつける、、、、
こういう流れなら、ストーリーに大いに絡むし、
何より未来くんの「いて欲しいという気持ちからやったこと」
に主人公が気づかないまま映画が終わるという、何ともいえないモヤモヤを無くしてくれる。
そして、歩道橋のところで2人がお互いの存在に気付いて、
駆け寄ろうとしたところで終わり、ってのはどうでしょう。
私だったら、こういう終わり方にしたいなぁ。
でも、蒼井優のファンなら観るべきでしょうね。
ホントかわいらしいし。
by basscla1 | 2009-10-14 00:46 | 映画