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「硫黄島からの手紙」

 公開前から話題のこの映画、やはり私も気になって仕方なく、
ついつい初日に観に行ってしまった。
終了時間が10時を超える最後の回だったのが、劇場は満員。
渋谷という場所柄からか、比較的若い年齢層も目立った。

 冷静に、平等に、決して過剰な演出を施すなく作られた戦争映画。
そして、外国人でなければ撮れなかった『日本映画』だと感じた。

渡辺謙演じる栗林中将やアメリカでも有名なバロン西など、
悲劇のヒーローとして描こうと思えばいくらでも出来るのに、
あえてそれをせず、淡々と描いている。

それでいて戦場の理不尽さや矛盾を余すところなく伝えていた。
決してどちらか一方に肩入れしないというその姿勢があったからこそ、
こうした映画が生まれたのだと思った。

日本人が作っていたら、決してこうは行かなかっただろうし、
そもそも戦勝国であるアメリカがこのような映画を作ってしまうところに
ハリウッドの懐の深さというか、イーストウッドの映画作りに対する
真摯な姿勢を感じてしまう。

爽快感があるわけでもなく、すっきり泣けるわけでもない。
なにか、ズシーンと重いものが胃の中に入ったような感じの映画だ。
劇場では特に涙することはなかったのだが、
硫黄島で生きて、そして死んでいった人たちのことを考えると
自然と涙が出てきた。

守るべき家族への思いがあるからこそ、
あれほどの強い意志と責任感が生まれるのだと思う。
あの頃の日本人のスピリッツを受け継いでいかなければいけないと感じた。

*物語の語り部である西郷役の二宮和也、
 こんな大役をこなすとは驚き!
 ランニング姿になるなら、もう少しカラダを鍛えておかないと、
 とか、現代人が混じっちゃったなぁ、と思うところがあったけど、
 それはあえて今の観客に見せるための狙いだと思う。
 とにかく、非常にいい演技だった

by basscla1 | 2006-12-10 00:12 | 映画  

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